暑い夏、上がってしまった車内の温度を下げるために、車専用の冷却スプレーを使っている方も多いと思います。
1分間の使用で車内温度が9℃も下がったという報告を聞いたことがありますし、効果が高いこともわかりますが、使用方法を間違えると大変なことになるのをご存じですか。
目次
車内で冷却スプレーを使用後にエンジンをかけると爆発する可能性も?
冷却スプレーとはどんなもので、どういう危険があるのか調べてみました。
冷却スプレーとは
冷却スプレーは、LPGと呼ばれる可燃性ガス、揮発性のあるアルコールのエタノール、さらにひんやりした清涼感のメントールなどを加えて、汗が蒸発するときに一緒に熱を奪っていく作用である気化熱の原理を、人工的に作り出した商品です。
エタノールは揮発性が高いので、汗よりも早く蒸発します。
そのエタノールを、LPGを使って車内に噴射することで車内にこもった熱を奪い、車内の温度を下げています。
どうして爆発の危険性がある?
冷却スプレーに使われているLPGは、可燃性のガスです。
空気より重く、車内の下のほうに一定時間溜まりやすいという特徴があります。
そのため、取り扱いにあたっては火気厳禁が絶対条件であり、注意書きにも記されています。
車内のスプレー使用で発生した事故事例
実際、冷却スプレーを使用後に爆発事故が起こったという報告がされています。
ライターの火に引火
軽自動車内で冷却スプレーを使用した直後に、タバコを吸うためにライターで火をつけたために、滞留していたLPGガスに引火して爆発を起こした事故が報告されています。
運転手は全身にヤケドを負ったということです。
エンジンを稼働させたことで引火
エンジンは稼働時に車種によっても異なりますが、火花が散ることがあるといわれています。
その火花がガスに引火する爆発事故の報告もあります。
幸いにして運転手は軽いヤケドで済んだため、命に別状がなかったのが不幸中の幸いでした。
車内に放置していた冷却スプレー缶が破裂
使い終わった冷却スプレー缶を放置したまま、直射日光のあたる駐車場に停車。
車内の温度上昇の影響で缶が破裂。フロントガラスが割れてしまったという事故もあります。
夏場の車内で冷却スプレーを使用する際の注意点
猛暑の影響で年々売り上げが上がっている冷却スプレー。
売り上げに比例して事故の報告も増加しています。使う時は十分な注意が必要です。
- 車内に火気がないことを確認したのち、窓を閉め切ってから使う
- 効果を上げるためにカーエアコンはONにした状態で使う
- 数秒間、車内全体に冷却スプレーを噴射する。
- 数分間、そのままに放置。
- 十分に喚起してから車に乗る。
LPGは空気より重いため、換気しても1時間以上ガスが溜まっていたという報告もあります。
喚起には十分時間をかけ、その間は火気厳禁です。
もう1つ注意したいのが静電気です。シートや洋服などがこすれて生じる静電気は、微量でも発火の原因になります。
その他スプレー缶の取り扱いにも要注意!
スプレー缶には冷却スプレー以外、大半の缶に可燃性のガスLPGが使われています。
LPG以外のガスが使われていることもありますが、可燃性のガスが多いことが知られていますので、車内で使用する際は注意が必要です。
車内で使われている可能性の高いスプレー缶
冷却スプレー以外にも、車内に常備されているスプレー缶は意外に多いです。
- 消臭スプレー
カーエアコンから発する悪臭対策に使う方が多いスプレー缶です。 - 油膜取りスプレー
雨の日の安全対策に常備しているスプレー缶です。 - ヘアスプレーや制汗スプレー
夏場の汗対策には必須のスプレー缶です。 - 虫よけスプレー
お子さんのいる家庭では常備されていることの多いスプレー缶です。 - ガラスクリーナー
安全運転のためには必要です。
火気以外に車内温度にも注意
上でご紹介したスプレー缶は、可燃性のガスLPGを使っているため火気厳禁ですが、注意しなければいけないのは火気だけではありません。
車内温度にも配慮が必要です。
炎天下に駐車していると、たった30分で車内の温度は40℃を超えますし、1時間放置したら50℃を超えるといわれています。
また直射日光がダイレクトにあたるダッシュボードは、70℃を超えるとさえいわれています。
この高温状態に中でスプレー缶を放置すると、缶が加熱されて破裂する危険性があります。
スプレー缶を使った場合は車内に置いておかず、ガレージなど外の安全な場所に保管するようにすることが大切です。
冷却スプレー缶に頼らないカーライフを
ガスライターなどの直接的な火だけでなく、静電気や機械のスパークなどでも引火の可能性があるLPG。大変な危険をはらんだガスを使っているのが冷却スプレーです。
効果が大きいのは確かですが、危険を回避するためにも、別の方法で暑さ対策を行ったり、カーエアコンを洗浄して性能アップを図るなど、安全にできる対策を検討してみてはいかがでしょうか。