困ったことに車の中というのは、けっこうな異臭、悪臭の発生源であるんです。
例えば喫煙車ならヤニ臭さ。飲食する機会の多い車は食べ物の残り香。
それ以外にも体臭や汗臭さなどもありますが、一番辟易するのは、久しぶりにカーエアコンのスイッチを入れたときに漂ってくる異臭ではないでしょうか。
生臭いような異臭の原因は、カーエアコンの内部に巣食ったカビなんです。
目次
カーエアコンの臭いの原因はカビ!
カビが原因とはいえ、カーエアコンの全てに発生するわけではありません。
発生するのは熱交換器といわれているエバポレーターです。
カビの発生条件
室内の場合、1㎥内に数個から数千個のカビが浮遊しているといわれています。室内でそれなのですから、狭い車内でも同様のことが考えられます。
また、カビは酸素、温度、水分、栄養部分があればどこでも発育できます。
まず酸素ですが、カビは好気性の微生物で、呼吸するための酸素が必要です。次に温度ですが、5~45℃で発育可能で、最適温度は20~30℃です。水分は湿度のことで、80%以上で発育します。
そして栄養分ですが、特別なものは必要ありません。ホコリ、食べかす、皮脂、汚れなどで十分です。
この全ての条件を満たしているのが、カーエアコンのエバポレーターです。
エバポレーターにカビが発生する理由
カーエアコンのカビ汚染に詳しい大阪市立環境科学研究所の濱田信夫先生は、自書の論文『カーエアコンとカビ汚染』で、「カーエアコン中の結露がカビを誘発」していると報告しています。
出典:-特集- 車室内空気質の問題と対策 カーエアコンとカビ汚染/大阪市立環境科学研究所 濱田信夫
カーエアコンは、家庭用の室外機にあたるものがエンジンルームに、室内機にあたるエアコンユニットが車内にある二重構造をしています。
その中で、結露が発生する場所として注目されているのがエバポレーターです。
エバポレーターは熱交換器と呼ばれ、空気を冷却し、送風口から放出するカーエアコンの要ともいえる装置で、冷却する際に大量の水滴が発生、これが結露となります。
また、温かい空気から熱を奪って冷却しますので、温度の条件も満たしています。
そして栄養分となるホコリもあるため、カビにとってエバポレーターは最高の生息環境といえます。
カーエアコンのカビを改善する方法
カーエアコン内部に発生したカビを改善するためには、洗浄しか方法がありません。やり方としては、自分で市販の洗浄スプレーを使って洗浄する方法と、プロのお願いする方法があります。
市販の洗浄スプレーを使う
市販の洗浄スプレーは、送風口からノズルを差し込み、薬剤を噴射、汚れを落としていく方法です。
千円代から販売されているので安価で簡単ですが、デメリットもあります。
まず、エバポレーターはエアコンユニットの中にあり、直接視認することはできませんし、複雑な構造をしています。
ですので、薬剤が完全に届いているか不安があります。
そして汚れを含んだ薬剤を洗い流すことができないので、新たなカビの温床になる危険性が高いのです。
プロにお願いする
プロにお願いする方法は大きく分けて2種類あります。高圧洗浄と分解洗浄です。
高圧洗浄は、世界でただ1社、クリーンデバイス・テクノロジー株式会社が行っているDr.BAZOOKA洗浄 (ドクターバズーカ)です。
同社が独自に開発、特許を取得した高圧洗浄器を使って行うもので、汚れを落とすための薬剤の噴霧も、それを洗い流すためのお水も高圧洗浄器を使って行いますので、確実にきれいになります。
高い効果を約束されているのに、国産の普通車なら作業時間は約1時間、費用も2万5千円~とお手頃価格です。
もう1つの方法である分解洗浄は、文字どおりカーエアコンのエアコンユニットを完全に分解、洗浄後、再度組み立てるというものです。
高圧洗浄同様に高い効果は期待できますが、1週間以上の作業時間と10万円以上の費用がかかることもあります。
カビの発生を防ぐための対策方法
一度発生してしまうと厄介なカビですが、毎日のちょっとした気遣いで未然に防ぐことができます。
エアコン内部の湿気に気を付ける
カビはエバポレーターの湿気で発生します。
ですので、エンジンを切る前にカーエアコンを送風モードにし、最大風量で15分ほど稼働、内部の湿気をとり去るようにします。
水分を残さないだけで、カビの発生がかなり抑えられます。
車内を清掃する
エバポレーターに発生する結露だけでなく、車内に発生したカビも取り込むことでカーエアコンの内部にカビは発生します。
食べかすやフロアマットの汚れなど、カビが発生しやすい場所をきれいにすることで、カーエアコンから漂ってくる異臭も軽減されます。
快適なカーライフはきれいなカーエアコンから
濱田先生の論文には、カーエアコンから放出されるカビは湿気のある夏場より乾燥した冬のほうが多いという報告もあります。
ジメジメした夏が終わったからといって安心できないのがカビ対策だということを、しっかり覚えておいてください。