トラックが安全に走行するために実施したい点検項目は実にたくさんあります。
日常的に実施する点検項目を覚えるだけでも大変ではないでしょうか。
そこで今回の記事では、トラックの日常点検項目全21個をリスト形式でご紹介しますので、点検のために役立ててください。
目次
トラックの日常点検のチェック項目
それではトラックの日常点検のチェック項目を、リスト形式で解説していきます。
前日の異常発生箇所
まずは走行する前日に、異常が発生していないか点検をしましょう。
適切な状態に調整されていること、異常があった部分は修理が完了していることなども確認してください。
タイヤの空気圧
次にトラックの周りをぐるりと一周しながら、タイヤの空気圧が適切か点検していきます。
タイヤの空気圧はタイヤが十分に冷えているときに行うようにするのが基本です。
また同じ要領でスペアタイヤの空気圧も点検します。
タイヤの亀裂・損傷・異状摩耗
タイヤに亀裂や損傷がないか、異常な摩耗が発生していないかも点検しておきたいポイントです。
金属や石などの異物が刺さっていた場合、小さな損傷が起きていることもあるのであわせてチェックします。
タイヤの溝の深さ
次に点検するのはタイヤの溝の深さです。
タイヤの溝は1.6mm以下になるとスリップしやすくなるため、タイヤの側面についている「▲」マークがある部分にスリップサインが現れてきます。
ただし高速道路を走行するトラックの場合は、さらに多くの残り溝が必要となるため、スリップサインに頼りすぎることなく溝が適切な状態であるか点検してください。
ディスク・ホイールの取付状態
ディスク・ホイールの取付状態は車両総重量8t以上のトラックで点検しなければならない項目です。
具体的にはホイール・ナット・ボルトが正常であるか、目視と点検ハンマーで確認する点検となります。
もし部品に折れ、サビ、損傷などが見られたら交換が必要です。
冷却水量
冷却水量の確認もトラックの点検で欠かせない項目です。
冷却水の水面が「MAX」と「MIN」の表示の間にあれば問題ありませんが、「MIN」の表示より下回っていたら、「MAX」の表示のところまで冷却水を足します。
ただし「MIN」より冷却水面が下回っていば場合、冷却水が漏れていることも考えられるでしょう。
水漏れがないか同時にチェックしておくと安心です。
ブレーキ液量
次に確認したいのはブレーキ液の量です。
ブレーキ液も冷却水と同じように、タンクの「OIL LEVEL」から「MIN」の表示の間に水面があればそのまま走行できます。
「MIX」を下回っていたら、「OIL LEVEL」の表示を上回らないように注意しながら補充してください。
エア・タンクの凝水
エアブレーキのトラックであれば、エア・タンクの凝水を排出も点検項目のひとつとなります。
場合によってはエア・タンク内に水が溜まっていることがあるので、水分を排出し、念のためエアが漏れていないか確認しましょう。
エア・タンクの下部に「ドレーン・コック」と呼ばれる栓がついているので、栓を開いて水を排出させます。
エンジン・オイル量
続いてはエンジン・オイル量の点検についてです。
オイルレベルゲージを抜いてオイルを拭ったら、そのままオイルレベルゲージを戻します。
そして再度抜き取ったときに、「MAX」から「MIXI」の間にオイル面がきていればオイルの量は正常です。
エンジンオイル量の点検は、エンジンを切ってから30分以上たったタイミングで、平坦な場所で行ってください。
バッテリー液量
バッテリー液も十分な量が入っているか、走行前にチェックしておきましょう。
「UPPER」と「LOWER」の間にバッテリー液の水面がくる量が正常です。
バッテリー液は約37%濃度の硫酸なので、身体に付着すると皮膚炎が引き起こされる可能性があります[1]。
点検の際には身体に付着しないように気をつけ、万が一付着した場合はすぐに大量の水で洗うようしてください[1]。
ファン・ベルトの張り・損傷
次にファン・ベルトの張りや損傷具合の点検をします。
ファン・ベルトの中央部分を指で強めに押して、たわむ量を確認する点検項目ですが、同時に亀裂や損傷がないかもチェックしましょう。
ファン・ベルトの張りを確認するときにかける力は約10kgです。
パーキング・ブレーキ・レバーの引きしろ
トラックではパーキング・ブレーキ・レバーの引きしろの点検も欠かせません。
パーキング・ブレーキ・レバーを静かに引きながら、引きしろに問題がないか「カチカチ」と鳴る音を聞いて点検します。
引きしろ点検で確認する音はノッチ音と呼ばれており、正常なノッチ数はトラックの取扱説明書に記載されているはずです。
ホイールパーク式のトラックでは、エンジンをかけて空気圧の状態を調整したあとにパーキングまでレバーを引き、空気が排出されるかを音で確認します。
ウインド・ウォッシャの液量・噴射状態
続いてはウインド・ウォッシャ液の量と噴射状態に問題がないか確認しましょう。
ウインド・ウォッシャ液の量は、タンクの中の液量を見て不足していれば足します。
噴射状態は実際にウインド・ウォッシャを動かしてみて、正常に噴射されるか目視で確認してください。
ワイパーの拭き取り状態
悪天候のときに欠かせないワイパーも点検することが大切です。
一つ前の項目でご紹介したウインド・ウォッシャ液の噴射状態確認とともに行うと効率的に点検できます。
正常に拭き取れているかは目視にて確認しますが、ワイパーにて切り替えられる3種類の速度すべてで点検を行いましょう。
エンジンのかかり具合・異音
実際にトラックのエンジンをかけてみて、かかり具合や音を点検する項目です。
アイドリング状態でのエンジン音が正常であるかもチェックしておきます。
エンジンの低速・加速の状態
エンジンがスムーズに回転するか、低速・加速したときの状態も確認しておきたいものです。
エンジンを加速していったときに、アクセルが正しく動いているか、「ガラガラ」「カリカリ」などの音が聞こえないかをチェックして判断します。
もちろんアイドリング状態での回転の確認も行っておきましょう。
空気圧の上昇具合
次の項目は空気圧の上昇具合ですが、エア・ブレーキのトラックのみで必要な点検です。
まずはエアタンクの中を空の状態にして、アイドリングをしながらエア・プレッシャ・ウォーニング・ランプの消灯までの時間を測るという点検を行います。
規定の時間内であれば問題がないと判断できますが、規定時間はメーカーにより違うため、トラックの取扱説明書を参照してください。
ランプ類の点灯・点滅状態
続いてはブレーキランプやウィンカーなど、ランプ類の点灯・点滅状態を点検しましょう。
点灯状態を目視で確認するとともに、ランプに損傷がないかもチェックします。
ブレーキ・ペダルの踏みしろ・効き具合
ゆっくりと走行しながらブレーキ・ペダルの踏みしろと効き具合を点検する項目です。
ペタルの遊びが適切であるか、引っ掛かりはないか、効きは十分であるかを運転者が自身の足で感じ取ってください。
ブレーキ・チャンバのロッドのストローク+ブレーキ・ドラムとライニングとのすき間
エア・ブレーキのトラックでは、ブレーキ・チャンバやブレーキ・ドラムの点検も行います。
ストロークはブレーキペダルを完全に踏み込んだ状態にて、スケールを使って点検し、ブレーキ・ドラムとライニングの隙間は点検孔がある場合はシックネスゲージで、点検孔のないものはアジャスタで隙間を確認します。
ブレーキ・バルブからの異音
ブレーキ・バルブの異音についても、エア・ブレーキのトラックのみで必要な点検です。
ブレーキペダルを踏み込み、足を離したときに排気音がするか、ペダルが完全に戻るかをチェックしてください。
トラックの日常点検は欠かさずに
トラックの日常点検はたくさんの項目がありますが、いずれも安全に走行するために必要なものなので欠かさずに行うようにしましょう。
ただしご紹介してきた点検項目は、トラックで走行するうえで必要最低限のものだと言えます。
走行には関わらなくとも、点検やメンテナンスをしておいたほうが良い項目は他にもあり、たとえばカーエアコンのメンテナンスがひとつとしてあげられます。
特に冬場はカーエアコンの使用頻度が高いので、カーエアコンシステムの内部も汚れがちです。
メンテナンスをしなければ、内部に汚れやカビが多く付着し、車内にむっとするような嫌なニオイが充満することもあります。
カーエアコンのメンテナンスも点検とともに実施したいと思われるなら、『カーエアコンのメンテナンス方法は?快適カーライフのために重要なこと』で詳しく解説しているので、参考にしながらぜひ実践してみてください。
[1]
参照:電機工業会:自動車用バッテリのQ&A