カーエアコンが冷えないトラブルの原因と対処法について解説する記事です。
地球温暖化の影響なのか、年を追うごとに厳しさを増していると感じる日本の夏。40度近くまで気温が上がることも珍しいことではありません。その状態で炎天下に車を駐車させておくと、車内温度は50度を超えることも。
それにも関わらず、暑い夏にカーエアコンをつけると、生ぬるい風ばかりで全然冷えない…。このような経験をされたことはありませんか?厳しい日本の夏にカーエアコンは必需品。もし、冷えないなんてことになれば命にも影響しかねません。
今回の記事では、カーエアコンが冷えない原因を8つのポイントから見ていき、それぞれの原因への対処法もあわせて解説していきます。
目次
カーエアコンがトラブルを起こしやすい原因
車自体の性能も耐久性も格段に上がった現在は、カーエアコンの性能も昔に比べるとかなり向上しています。
それでもカーエアコンはトラブルを起こしやすいといわれています。
高温多湿な日本の気候風土が原因
年間の平均湿度が68%という日本は、車にとっては過酷な条件下といえます。
常に湿気があるため、パッキンやゴムなどの劣化が早いといわれています。
暑い夏はバッテリーの消耗が早い
家庭用のエアコンは電気で動きますが、カーエアコンはバッテリーで動きます。
暑い夏は、カーエアコンを使うことでバッテリーはかなり消費しています。
そのためバッテリーが上がる原因になるのです。
カーエアコンは不安定な状態で使用されることが多い
走行中の振動や衝撃、エンジンルーム内の温度変化など、常に不安定が状態で使用され続けるカーエアコンは、その分トラブルが起きやすいです。
カーエアコンの仕組みと故障個所
夏には暑さ対策で、反対に冬は温もりと曇り止めとして、そして梅雨や秋の長雨のときには蒸し暑さへの対処として、季節に関係なく使用するカーエアコン。
今では年中無休状態といえますが、一口にカーエアコンといっても冷房と暖房では仕組みが違うため、トラブルの原因も異なります。
暖房の仕組みと故障個所
カーエアコンの暖房は、エンジンの熱を利用して温風を作りだします。
そのため温風が出ないトラブルの原因も、それに起因したもので、冷却水の不足やサーモスタットの故障などがあります。
冷房の仕組みと故障個所
一方冷房は、冷媒と呼ばれるエアコンガスをコンプレッサーで圧力をかけ圧縮したものをコンデンサーに送り、そこからエバポレーターに噴射し、一気に気化しながら周囲の熱を奪うことで冷気を発生させていきます。
つまり、冷房はエアコンガス、コンプレッサー、エバポレーターなどがあって初めて成立するもので、冷えない原因もそれらの不具合、エアコンガスの不足や漏れ、コンプレッサーの故障、コンデンサーファンの故障、エバポレーターの汚れなどが考えられます。
カーエアコンが冷えない原因別の対処法と費用相場
カーエアコンが冷えない原因はいくつかありますが、それぞれの対処法と費用相場をご紹介していきます。
エアコンガス
冷房をかけたのに風が生ぬるい、とか、効き目が悪いという場合は、エアコンガスの不足や漏れが考えられます。
エアコンガス自体は簡単に減るものではありませんが、長年使っているうちに少しずつ減ってきます。
冷えないと感じた時点でプロに点検をお願いすれば、すぐにガスの補充をしてもらえますので、比較的簡単に直るトラブルです。
プロにお願いする場合の費用の相場は、ガスの補充だけなら3,000~5,000円ほどですが、ガス漏れの修理になると2~3万円かかります。
コンプレッサー
エアコンガスを圧縮するために使われているのがコンプレッサーです。
エンジンの回転をファンベルトという装置で伝達して動かしているのですが、A/Cスイッチを入れてから1秒ほどでカチッという音がして動きだします。
車内からだと聞きとりにくい音なのですが、注意深く聞いているとわかります。このカチッという音がしない場合は故障の可能性があります。
コンプレッサーが故障した場合、プロに修理を依頼するしかありません。修理には5万円以上の費用がかかることも。
コンデンサーファン
コンプレッサーで圧縮され気体となったエアコンガスを、液体に戻す役割をしているのがコンデンサーファンです。
この部分が故障していると、冷たい風を作ることができず、生ぬるい風が出てきてしまいます。
コンデンサーファンの修理もプロにお願いするしかありませんが、修理費用は3万円前後だといわれています。
エバポレーター
カーエアコン内部にある熱交換器がエバポレーターです。
カーエアコンの心臓部ともいえるもので、運転席の足元にあり非常に狭く、しかも湿度が高いためカビやハウスダストの温床になりやすい部分です。
また、車内の空気はエバポレーターを通って循環していくので、タバコの臭いやカビなどの臭いが散乱する原因となります。
カー用品の専門店に行くと自分でエアコン部分を洗浄できる器具を販売していますが、かなり奥にある上に複雑な構造をしているため、臭いの原因となる汚れをきれいにすることは難しいです。
臭いの原因を根絶したいなら、プロの手を借りることが近道。プロの洗浄方法は分解染浄と高圧洗浄の2種類がありますが、分解洗浄は費用は10万円以上で日数も数日かかります。
それよりも簡単で、しかも安価なのに高い効果が得られるのが高圧洗浄です。
独自に開発した器具を使って行う高圧洗浄は、時間的に1~2時間で費用も国産の普通車で4万円前後と分解洗浄の半分以下で済みます。
フィルター
カーエアコンが冷えない原因の一つとなるのが、エアコンフィルターの詰まりです。
家庭用のエアコンもフィルターが汚れると効きが悪くなるのと同様に、カーエアコンもフィルターの目詰まりによって効きが悪くなることがあります。
エアコンフィルターの目詰まりは、新しいエアコンフィルターに交換することで解消できます。
市販品が2,000円前後で販売されているので、車の説明書などを参考に新しいものと交換しましょう。
ヒューズ
カーエアコンが冷えないと感じたら、ヒューズが切れていないか点検してみてください。
ヒューズは家庭にあるヒューズと同じように、電流の制御をする役割を担う部分です。
ヒューズの場所は車の説明書に記載されており、市販品を購入してご自身で交換されるなら数百円程度の費用で交換できます。
新しいヒューズに交換しただけで、カーエアコンが十分に冷えるようになることもあるので試してみましょう。
ただヒューズを新しくしてもカーエアコンが冷えないなら、他の部分にも異常が発生している可能性があるので整備工場やディーラーに相談してください。
リレー
ヒューズとともに点検したいのが、ヒューズボックスに付属しているリレーというスイッチです。
リレーが壊れるとコンプレッサーへの電力供給がなくなり、カーエアコンが冷えなくなることもあります。
リレーは1,000円ほどで販売されているのでご自身で交換することもできますが、市販されていない場合や交換に自信がない場合は整備工場やディーラーにご相談ください。
サーミスタ
サーミスタが壊れたことが原因で、カーエアコンが十分に冷えないこともあります。
サーミスタとは車内と外気の温度を測定しているセンサーのことです。
温度を測定するセンサーが壊れてしまうと、温度を測定できなくなり、車内の温度を快適にできなくなります。
サーミスタが故障した場合は専門業者による交換が必要となりますが、1万円ほどで修理してもらえるはずです。
定期メンテナンスで安心・安全なカーライフを!
一昔前までカーエアコンはオプションでした。カーエアコンが付いていること自体がステイタスだったのです。
しかし現在では標準装備されている車がほとんどだと思われます。性能があがったとはいえ、カーエアコンは無敵ではありません。
どんなに最新のカーエアコンでも、使っているうちに性能は劣化します。ちなみにカーエアコンの寿命は10年だといわれています。
いざというときに慌てずに済むように日頃のメンテナンスをしっかり行い、快適で安全なカーライフを送りましょう。
プロの力を借りてカーエアコンを快適に利用しよう
高温多湿で激しく蒸し暑い日本の夏で快適なカーライフを送るためには、カーエアコンは絶対条件です。ただ、カーエアコンは精密機械。素人判断でメンテナンスするには限度があります。
カーエアコンが冷えない原因はエアコンガス・コンプレッサー・コンデンサーファン・エバポレーター・フィルター・ヒューズ・リレー・サーミスタとさまざまで、プロの点検を受けずに特定することは難しいもの。
とくにカーエアコンの心臓部ともいえるエバポレーターのクリーニングは、素人とプロでは雲泥の差があります。自分でやって不快さを我慢するか、プロにゆだねて快適さを享受するか。検討してみる価値大です。
高温多湿な日本の夏は、人だけでなくカーエアコンにとっても過酷な環境。定期的なメンテナンス・点検やエバポレーター洗浄を行い、猛暑日でも快適に過ごせる車内空間を実現させましょう。