梅雨が明ければそろそろエアコンの出番。それは家でも車でも変わりません。
快適な車内空間を求めてカーエアコンのスイッチをいれたはずなのに、漂ってきたのは鼻をつまみたくなるような臭い、なんて経験をされた方も多いと思います。
なぜ夏のエアコンは臭くなりがちなのか、その原因と対策を探ってみました。
目次
なんで夏は車のエアコンが臭いの?原因は?
夏場のカーエアコンの送風口から出てくる風の感じと臭いには、ある特徴があります。
それは“酸っぱい感じの臭い”と“湿っぽさ”です。その原因として考えられるのがカビです。
カビは温度と湿度を養分にして発生、繁殖をする生き物です。もっとも繁殖しやすい環境は室温25~30度、湿度65%以上。
日本国内でみるとちょうど梅雨から夏の時期にあたります。
カーエアコンシステムについて
カーエアコンは、エンジンルーム内にあるコンプレッサーと 車内にあるコンデンサー、エバポレーターという主要パーツを使い、冷たい風を送っていますが、そのシステムを簡単に説明すると以下のようになります。
- 冷媒であるエアコンガスがコンプレッサーで圧縮され、半液体状態になります。
- エアコンガスは、半液体状態のまま車内のコンデンサーに送られ、コンデンサーファンの風によってさらに冷却、液化が進みます。
- 液体となったエアコンガスは、エバポレーター内に噴射され、一気に気化します。
- 気化したエアコンガスは、エバポレーター周囲の熱を奪いながら、エバポレーター内を急激に冷やし、冷風を生み出し、車内に送りだします。
この一連の動きを行うカーエアコンの心臓部ともいえる部品がエバポレーターです。
エバポレーターはその性質上、使用中は常に湿気を帯び、温度も高い状態です。さらに構造的に掃除がしずらく、ホコリなどが溜まりやすくなっています。
言ってみればエバポレーターの周囲は常に夏。カビが繁殖するのに最適な環境なのです。
夏のエアコンの臭いを放っておくとどうなる?
夏のカーエアコンから流れ出てくる酸っぱい、湿った感じがする臭いの風は、カビが原因のことが多いのですが、なんの対策もせずそのまま使っていると、送風口から出る風と一緒にカビの胞子が車内に拡散することになります。
大阪市立環境科学研究所の濱田信夫先生が発表された「カーエアコンとカビ汚染」という研究によると「アレルギー疾患を誘引するすると見られるカビの種類も多く含まれている」と報告されています。
一口にカビによるアレルギーといっても症状は様々で、気管支ぜんそく、アレルギー性鼻炎、アレルギー性皮膚炎、アレルギー性結膜炎などの多くの疾患が懸念されます。
カビによるアレルギー疾患は免疫力の低下に関係なく起こる病気です。長時間、車で移動をする方や小さいお子さんなど特に注意が必要です。
夏前に臭いの対策をしておこう
カーエアコン内のカビが一気に増加する可能性の高いのが夏なのですが、夏本番を前にカビ対策をすることで被害を軽減させることができます。
芳香剤や消臭剤で軽減できるのは臭いだけ。発生したカビ自体を取り除くことはできません。元を絶たない限りカビの被害からは逃れることはできないのです。
夏もへっちゃら!カーエアコンクリーニングを検討しよう
夏のカビ対策として効果が高いのが、カビの発生源を一掃するクリーニングです。
クリーニングの方法は、市販の洗浄スプレーを使う方法、カーエアコンを分解掃除する方法、専門家によるカーエアコンのクリーニングなどがあります。
まず市販のカーエアコン洗浄スプレーですが、カビの発生源になっているエバポレーターは奥まって場所にあるため、洗浄するための薬剤がまんべんなく噴射できない可能性もあります。
また噴射後の薬剤を洗い流すことができないため、新たな温床となる可能性もあるので、価格的にはもっともリーズナブルなのですが、効果はあまり期待できません。
次にカーエアコンそのものを分解して洗浄する方法。
カビはもちろんホコリや花粉などのハウスダクトまで取り除くことができますが、日数にして数日、費用も10万円代とちょっと高めです。
効果は期待できるのですが、コスト的にちょっと考えてしまうところです。
最後にカーエアコンのクリーニングです。
これは独自に開発した器具を使って行うクリーニングで、まず薬剤をカーエアコン内部に噴霧。高圧で噴射するため、届きにくいエバポレーターの細部まで洗浄することができます。
その後水による高圧洗浄で薬剤と一緒にカビやホコリ、花粉などを洗い流します。
高い効果が期待でき、所要時間約1時間、費用も3万円前後とリーズナブルです。
まとめ
近年自宅のエアコンのクリーニングは常識になりました。それだけエアコンによる健康被害が増えているということなのですが、カーエアコンのクリーニングも同じく常識になるのも遠いことではないかもしれません。