大型連休が終わり、梅雨入りの知らせが届き始めると、あぁ、またこの季節がきたなとうんざりするドライバーも多いのではないでしょうか。
うっとうしい気持ちになる原因は、カーエアコンのスイッチを入れたときに漂ってくる異臭。
実はあの生臭い異臭の原因は、車内やカーエアコンの内部に巣食ったカビなのです。
梅雨の車内が臭い原因とは
梅雨の時期や長雨が続いたときなどに車内に異臭がするのは、知らないうちに、気づかない場所にカビが発生していることが原因です。
カビが発生する理由
カビは生命力の強い生き物ですが、発育するためには、酸素、温度、水分、栄養分の4つが必要になります。
- 酸素
カビは好気性、呼吸をする微生物ですので酸素が必要です。 - 温度
5~45℃で発育しますが、最適温度は20~30℃と、ちょうど梅雨のころの温度です。 - 水分
湿度のことです。
湿度が80%以上で発育が良くなるといわれていますが、15~50%でも発育が可能です。 - 栄養分
微生物であるカビは植物とは異なり葉緑素を持っていないため、光合成で栄養分を作りだすことができません。そのため、発育するためには有機物による栄養分、つまりエサが必要なのです。好物は炭水化物や糖を含んだ穀類や豆類、イモ類などです。
酸素、温度、水分、栄養分。4つのうち1つでも絶てば、カビの繁殖を抑えることができますが、実はこの4つがまん延している場所が車内には多いのです。
車内でカビが好む場所
酸素は人間が生きてうえでも必須のものなので除外するとして、温度・湿度・栄養分=エサを、カビが発育するのに必要な3つの条件としても、梅雨の車内には、その条件を満たす場所がたくさんあります。
まず、温度と湿度。これは梅雨というだけで条件を満たしています。
問題はエサですが、有機物であればなんでも大丈夫なので、ホコリやゴミも含まれます。
フロアマットや座席シートは、車内で食べ物の残りかすが付着している可能性がありますし、靴底の汚れや人間の皮脂なども該当します。
また、カーエアコンのエバポレーターやエアコンフィルターも、ホコリというエサがはびこっている装置ですし、エバポレーターは熱交換器という性質から結露が発生しやすい場所なので、カビにとっては最高の生息環境を備えています。
梅雨の車内の臭い対策
カビは、4つある生育条件を1つでも無くすことができたら発生しないとご紹介しましたが、臭い対策として、もう1つ気をつけたいのが温度です。
カビは生命力の強い微生物。
種類によって0℃以下でも生育が可能ですし、高温でも死滅することはない生き物です。そのため、梅雨の車内の臭い対策をするなら、湿度とエサにこだわるのが早道です。
- 湿度
降っている雨を車内に持ち込まない工夫をすること。空気中に含まれている湿気対策をし、乾燥させることがカビを防ぎ、異臭を防ぐことになります。
まずは雨ですが、濡れたままの傘や靴を車内に持ち込むと、ついている雨粒で車内が濡れ、フロアマットや座席シートを濡らすことになり、異臭につながります。
ドアの開閉に気を付けたり、雨粒をしっかり切ってから持ち込む、水滴はこまめにふき取るなど気を付けることで違ってきます。
また、車を降りる前に送風を最大風量で15分ほどかけ、車内を乾燥させるのも効果が期待できます。 - エサ
車内で食べた食べ物の残りかすや落ちたクズ、ホコリ、ゴミなどは、カビや雑菌の格好のエサになります。
この対策としてはこまめに掃除をし、エサとなるものを残しておかないことです。
梅雨時期のカーエアコンからの臭いは要注意
フロアマットや座席シートにカビが発生しても、直接目で確認することができるので対策を立てることができますが、危険なのはカーエアコンです。
カビの温床になりやすいのがエバポレーターですが、エアコンユニットの中に組み込まれているので内部を見ることができません。
スイッチを入れたときに臭ってきたら、もう末期的な状態だと思ってください。
市販品では対策は不十分
市販品を使っての対策で思い浮かぶのが、消臭スプレーですが、これは香りの上塗りをして臭いをごまかしているだけ。
カビを取り除くという、根本的な解決にはなりません。
もう1つ、市販品として知られているのがエバポーターの洗浄スプレーです。
送風口からノズルを差し込み、薬剤を噴霧するのですが、エバポレーターは内部が複雑な構造になっているので、カビが大量発生した内部をきれいにできているか疑問が残ります。
また、汚れを含んだ薬剤を洗い流すことができないため、カビで汚れた薬剤が新たなカビを呼び寄せる結果になる危険性があります。
プロに依頼する
エバポレーター内部に巣食ったカビを撃退し、臭いを根絶したいなら、プロに依頼するのが確実です。方法は大きく分けて2種類。高圧洗浄と分解洗浄です。
高圧洗浄はクリーンデバイス・テクノロジー株式会社のDr.BAZOOKA洗浄 (ドクターバズーカ)です。
同社が開発し、特許を取得した高圧洗浄器を使って行う方法で、薬剤を噴霧するのも、カビを含み汚れたその薬剤を洗い流すのも、独自に開発した高圧洗浄器を使って行い高い効果が得られます。
確実にきれいになるのに、国産の普通車なら作業時間は約1時間、費用も2万5千円~とリーズナブルです。
出張洗浄もOKなので、車を持ち込む手間もかかりません。
分解洗浄は、ディーラーや整備工場に依頼し、カーエアコンのエアコンユニットを解体して洗浄。その後、再び組み立てるというもの。
高い効果は得られるのですが、作業工程の都合上、1週間以上の日程と10万円以上の費用が掛かることもあります。
また、車の持ち込みと引き取りも考えなくてはいけません。
発生前の対策が重要
ジメジメとしたお天気が続く日本の梅雨。
それでなくても鬱陶しいのに、カビにまで悩まされたくはないですよね。
快適なカーライフを満喫したいなら、車内掃除とエバポレーターの徹底洗浄を梅雨入り前に行い、万全の状態で梅雨を乗り切りましょう。