カーエアコンの「ACボタン」の意味や働きについて解説する記事です。
カーエアコンについているACスイッチ。どういう役割があって、どういう効果をもたらして、どう使いこなせば良いのかご存知ですか?燃費に影響するから使わないようにしている、という声もチラホラ聞こえてきます。
確かにACボタンは燃費に影響を与えることもありますが、適所で使えば車内をさらに快適にしてくれる存在。暖房を使用しているとき、冷房を使用しているときとそれぞれのシーンでの上手な使い方を知って、もっとカーエアコンを使いこなしましょう。
目次
カーエアコンのACボタンとは?ACの意味
カーエアコンのACボタンとは、エアコンディショニングシステムを作動させるためのスイッチです。
「AC」は「Air Conditioner(エアコンディショナ)」の頭文字で、その総称を日本流に略しているのがエアコンです。本来は空調設備のことを意味しますが、車の場合は「送風機」を意味する場合がほとんどです。
ACボタンをONにすることで空調設備の一つであるコンプレッサーが稼働します。コンプレッサーを稼働させるということは、冷たい風を作り出すための冷媒である「エアコンガス」を動かすということ。
つまりカーエアコンが機能し始めて、冷房機能と除湿機能が稼働を始めるということになります。
ACボタンの上手な使い方
それではACボタンを上手な使い方について見ていきましょう。冷房時と暖房時で使い方が変わるので、ケースに応じた適切な使い方をご紹介します。
冷房を使用しているとき
カーエアコンの冷房を使用しているときは、ACボタンで冷却性能を発揮しながら除湿が行えるようになります。
冷房はACボタンでコンプレッサーを動かすことにより冷却機能を実現させているので、ACボタンをオフにしていては冷たい風は流れません。またエアコンシステムを稼働させることにより除湿もできるようになるので、窓ガラスの曇りを防ぐこともできます。
暖房を使用しているとき
暖房を使用しているときは、除湿をするためにカーエアコンのACボタンをオンにしましょう。暖房はエンジンの熱により空気を暖めているので、冷房のように「ACボタンで暖房機能が高まる」ことはありません。
基本的に暖房機能にACボタンは必要ありませんが、冬は外気との差で結露しやすくなり、フロントガラスが曇ることが多いもの。交通事故防止のために窓が曇ってきたらACボタンをオンにするのが、暖房を使用しているときの上手な使い方です。
カーエアコンの暖房機能にACボタンは不要
実は車には、本来暖房設備というのは備わっていません。ではどうしてカーエアコンから温かい風が流れてくるのでしょうか。
走行時、エンジンは常に動いて熱を帯びているため、ラジエーター内の水で冷却しオーバーヒートを防いでいます。冷却水と呼ばれる水の温度が上がるのを利用し、温まった風を送り出しているのです。
このシステムを考えると、暖房時にACスイッチは不要ということになります。
暖房時、交通事故防止のためにACボタンを活用
車は密閉された空間です。窓を閉め切っていれば隙間風が入ることはありません。
この状態で暖房を入れると、上でもご紹介したように外気温との差で結露ができ、フロントガラスなど窓ガラスが曇る原因となります。それをACスイッチでONにすることで防止できるのです。
ただしONにしたままの状態が続くと、除湿し過ぎて車内の空気が乾燥しますので注意してください。
ACスイッチの使用は燃費に影響する?
ACスイッチをONにすることで気になるのは燃費の問題ですが、結論から言いますと燃費は悪化してしまいます。ただし夏と冬では燃費悪化のパーセンテージが異なります。
夏は10~20%の悪化
熱い夏、ACスイッチをONにしたまま冷房を使い続けると、燃費が10~20%悪化するといわれています。暑い夏、何の対策もしなければ車内の温度は50℃を超えるといわれています。
その状態でカーエアコンをつけると、上がってしまった車内温度を下げるためにコンプレッサーをフル稼働させることになり、ベルトで連携し、コンプレッサーの動力源であるエンジンに負荷をかけることになって燃費の悪化につながるのです。
冬の影響はごくわずか
暖房はエンジンの熱を利用しています。なのでACスイッチを入れても、エンジンに大きな負荷をかけることはないので、大きく燃費を悪化させることはありません。
カーエアコンを使いこなすにはACボタンの効果を知って
カーエアコンを上手に使いこなすには、ACボタンの効果を知っておくことが欠かせません。冷房を使用する際にはACボタンをオンにしなければ冷たい風は出てきませんし、冬にフロントガラスが曇ったときにも大活躍してくれるのがACボタンです。
快適に冷房を使うためだけでなく、曇りをとって交通事故を予防したり、除湿機能により結露を防いだりと、大きな役割を果たしています。ただしACボタンをオンにすると、わずかに燃費が悪くなります。
熱い夏、快適なカーライフのためにACスイッチは欠かせませんが、冬場は除湿の問題だけです。もちろん安全運転のためにはACスイッチを入れるべきですが、車内の状況を見極め、上手な使い方で燃費問題を改善することをおすすめします。