カーエアコンが効かなくなる原因のひとつである「コンプレッサー」の交換について解説する記事です。「カーエアコンの効きが悪い…」と感じたら、コンプレッサーの不良や故障が原因かもしれません。
カーエアコンは、冷媒であるエアコンガスをシステム内で循環させ、もともと液体だった冷媒を、液化と気化を繰り返すことで冷やす装置。そのスタートが、カーエアコンの心臓部ともいえるコンプレッサーです。もし不調になったら、高額の費用がかかる可能性が高い部品です。
それではコンプレッサーの交換はどのように行われるのか、費用の目安とともにご紹介していきます。
目次
カーエアコンの冷房が効かない原因とは
カーエアコンの冷房は「気化熱冷却方式」というシステムです。注射などをするときにアルコール綿で患部を拭きますが、スッとしますよね。あれと同じ原理です。
アルコールが冷媒と呼ばれるエアコンガスと同じで、拭くという行為、体温で発散させる状態がカーエアコンのシステムということになります。そのため冷房が効かない原因は、その部分に由来することが大半です。
エアコンガスの漏れや不足
ガソリンがないと車が走らないように、カーエアコンも冷媒と呼ばれるエアコンガスがないと冷えません。
本来密閉された部品の中で循環していくので滅多にありませんが、ガスの通り道であるパイプの不具合やつなぎ目の劣化などによる漏れなどが原因でガス不足になると冷房が効かなくなります。
コンデンサーオイル不足や漏れ
コンプレッサーで高温高圧化し気化した冷媒から、熱を奪い冷やす役目を担っているのがコンデンサー。コンデンサー自体の動きを円滑にするのに用いられているのがコンデンサーオイルです。
故障などしなくても年々5mlほど自然消滅するので、オイル不足でエアコンが効かなくなることがあります。
コンプレッサーの不良や故障
コンプレッサーは、カーエアコンの心臓部。エンジンルーム内にあり、最初は液体である冷媒を気化させる役目を担っています。使用頻度や使い方、車を保管しておく環境などによっても異なりますが、とても頑丈に作られていて、本体の寿命は10年といわれています。
だからといって10年間、故障しないというわけではありません。コンプレッサーはエンジンの動力を利用して稼働しています。その動力を伝えるためのベルトやつなぎ目などが、寿命といわれている10年より前に劣化することがあります。
こうなるとカーエアコンの冷房は役に立たないと思ったほうが賢明です。
コンプレッサーの故障はどうやってわかる?
カーエアコンが標準装備されるようになった現在、簡単に壊れては困る部品の代表がコンプレッサーです。
本来頑丈に作られてはいるのですが、7年以上経つと不具合が発生する場合があります。
コンプレッサーの作動の確認方法
- カーエアコンのスイッチをONにし、エンジンフードを開け、コンプレッサーを目視します。
- 動力を伝える部品であるプーリーと、コンプレッサーの作動を継続するために使われているマグネットクラッチが、一緒に回転しているか確認します。
- 2つが一緒に回転していれば、カーエアコンは正常に作動しています。
コンプレッサーが正常に作動していない場合
コンプレッサーに不具合が発生している場合、プーリーだけが回転し、マグネットクラッチが回転していないという状態になります。不具合はコンプレッサー自体の場合もありますし、冷媒であるエアコンガスの不足や電気的なトラブルなども考えられます。
コンプレッサーの故障を判定するのは難しいので、ご自身で判断するのは危険です。かならず整備工場やディーラーなど専門の業者に依頼するようにしてください。
コンプレッサーの交換手順
エアコンガスを補充してもコンプレッサーが正常に動かない場合、コンプレッサー自体の交換が必要です。コンプレッサーはどのように交換されるのか、その手順について簡単に確認してみましょう。
- グリルを外す
- バンパーを外す
- エアコンガスを回収する
- エアコンベルトを外す
- コンプレッサーを外す
- 反対の手順で部品をすべて取り付ける
- 真空引きとエアコンガスの注入を行う
- バンパーを取り付ける
カーエアコンのコンプレッサー交換には、グリルやバンパー、エアコンベルトなど、コンプレッサー以外の部品も取り外さなければなりません。大人2人の手を要しさらにエアコンガスもすべて回収しなければならないので、一般の方が行うのは非常に難しいことがわかります。
コンプレッサーまで取り外せたら、後は反対の手順ですべての部品を取り付けて、真空引きとエアコンガスの注入を行ったらほぼ作業は完了。カーエアコン部品の交換の中でも、コンプレッサーの交換は専門性が高い作業とされています。
カーエアコンのコンプレッサー交換は複雑な作業
カーエアコンのコンプレッサー交換にはさまざまな部品の取り外しが必要となる複雑な作業です。車本体のエンジンにも関わってくる交換なので、一般の方では難しい部分があるため、ディーラーや自動車整備工場など、専門家にお願いすることをおすすめします。
またコンプレッサーを交換する場合、車種によっては附随する部品や、エアコンガスなどの交換や入れ替えなども含まれてくる場合がありますので、よく説明を聞くようにしてください。
コンプレッサーの交換にかかる費用相場
コンプレッサーの交換は、カーエアコンの修理の中でも高額な部類になります。機種によっても多少の金額の差はありますが、新品の純正品を使った場合、5万円から7万円はかかると思ってください。
もっとリーズナブルに済ませたいなら、リビルト品を使う方法もあります。リビルトとは再生や再構築という意味で、使用済みの部品を分解・洗浄したのち、摩耗や劣化したパーツだけを新品に交換して、再度組み立て直したもの。
再利用した部品にも厳しい検査基準が設けられていますし、品質チェックも行われているので、新品に近い性能になっているものも少なくありません。それでいて価格は純正品の半額以下です。
純正品かリビルト品か、どちらを選ぶかは車次第というところかもしれません。
カーエアコンのコンプレッサー交換を避けるにはメンテナンスが重要
大変な作業となるカーエアコンのコンプレッサー交換を避けるには、定期的な点検とメンテナンスが重要です。作業の行程を見ても、カーエアコンのコンプレッサー交換は複雑な作業であることがおわかりいただけるでしょう。
コンプレッサーの寿命は10年ほどと言われていますが、点検やメンテナンスをしなければ寿命が短くなることも考えられます。またカーエアコンの効きが悪くなり、車内を快適に保つことも難しくなるでしょう。
カーエアコンはいろいろな音を発し、私たちに正常なのか不具合があるのか伝えてくれています。カーエアコンをつけて、エンジンルーム内でカチッという音がしたらコンプレッサーが正常に作動した証しです。もしカーエアコン自体が汚れていたら、この音がしないかもしれません。
ご紹介したとおり、コンプレッサーの交換は費用がかかるもの。日頃からのメンテナンスとエバポレーターのクリーニングなども行い、いつでも正常な音が聞こえるようにすることが大切です。